日本製紙クレシア
2019年11月1日 初版
食品の衛生管理手順を「見える化」した上で、重点管理で効率よく対策を進めることができる「HACCP」。2018年の食品衛生法の改正により、正式に義務化が決定しました。しかし、これから対策を講じる企業にはどのような対応が求められるのでしょうか?今回は、全ての食品関連事業者に対応が求められる「HACCP対策」と、その対策のための第一歩をご紹介します。
HACCP(ハサップ、またはハセップ)とは、かつてアメリカの宇宙開発分野で生まれた食品衛生の管理法です。Hazard Analysis(危害要因分析)とCritical Control Point(重要管理点)を組み合わせるため、このような名称で呼ばれています。
海外の企業と食品取引を行う際には「国際基準に則った衛生管理」が求められます。そのような意味で、HACCPは食の安全性を維持するためのグローバルスタンダードといっても過言ではありません。事実、1993年には、国際食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)から派生する食品規格委員会によって、HACCPのガイドラインが示されています。
しかし、日本国内でHACCPを導入している食品製造業者は3割弱と、ごく少数に過ぎません。そして、その大部分が大企業によって構成されています。2020年までのHACCPに沿った衛生管理の制度化が目前に控える今、これから対策を講じる企業はどのような点に注意し、衛生管理を推進すればよいのでしょうか?
▶HACCP制度化に向けた衛生管理対策のご紹介
食品関連接客業において衛生管理を進めるにあたっては、次の3つのポイントに注力し、取り組むことが効果的です。それぞれ具体例と合わせて見ていきましょう。
1つ目にご紹介する 「危害分析」は、HACCPを考える上で最も重要、かつ基本的な内容となります。おおまかに述べると、危害分析とは ”製品に残存するおそれのある危害要因を全て洗い出す” という作業を指します。この段階で危機要因を洗い出すことができなければ、そもそも意味のあるHACCPプランを組み立てることはできません。そのため、HACCP導入にあたっては、次に示す具体的な危害分析のステップが推奨されます。
【手順①】 製品の全情報が集まるように、各部門の担当者でHACCPチームを結成する
【手順②】 製品がどんなものなのか、書き出す(⇒製品説明書の作成)
【手順③】 製品が誰にどのように食べられているのか、書き出す(⇒製品説明書の作成)
【手順④】 製品の製造工程をまとめる(⇒製造工程図を作成)
【手順⑤】 手順④でまとめた製造工程図が間違っていないか、製造現場で確認する
【手順⑥】 手順⑤でまとめた製造工程ごとに、どのような「危害要因」が潜んでいるのか、分析する
「危害分析」は、上記の【手順⑥】に該当します。しかし、製品説明書や製造工程図を作成するといった「危害分析の前段階」で十分な情報収集ができなければ、その次のステップに妥当性を見出すことができません。だからこそ、話し合いと現場確認を交互に繰り返して進めることが大切です。
「危害分析」では、手順①~④で作成した製品説明書と製造工程図を確認し、「潜在的な危害要因がないか」を確認します。具体的には、(1)生物的要因 (2)物理的要因 (3)科学的要因 といったものが考えられるため、これらをいかにコントロールするかを検討することが、このステップにおける最大の目的となります。
2つ目にご紹介するプロセスが、「重要管理点(CCP)」を特定する段階です。これは、手順⑥で挙げた「危害要因」について、その後の工程で除去・低減できるか確認する作業を意味します。そして、決定した「重要管理点」を連続的に監視することで、確かな安全性を保つ衛生管理の手法こそが「HACCP」となります。
「重要管理点」が明らかになった次の段階では、それを適切に管理するための基準を設定します。具体的には、「100度以上で5分加熱すること」といった定量的な管理基準が求められます。この後のプロセスでは、もしも管理基準から逸脱していた時に講じるべき措置を定めるなど、改善のための仕組みづくりが設けられています。
今回、3つの観点から衛生管理のポイントを見てきましたが、各工程では具体的にどのような対策が有効なのでしょうか?もちろん様々な対策が考えられますが、今回はその中でも最も重要な清掃作業に着目した「産業用ワイパー」と「保護具」を推奨します。HACCP対策を講じる上で、次のようなポイントに着目してはいかがでしょうか?
布巾やダスターは実に多くの製造現場で使われていますが、繰り返し使用する過程において、その使い分けは曖昧になりがちです。ここで万が一用途を見誤ると、異物混入の原因にもなりえるため、HACCPを実践する上での大きな障壁となります。だからこそ、布巾やダスターはディスポ化(=使い捨て品を活用)することで、トラブルのリスクを最小化することが望ましいといえます。例えば、布巾やダスターを産業用ワイパーに切り替えることで、選別・洗濯・消毒・乾燥といった手間を削減することが可能になり、人件費や作業工数、現場負荷の軽減を図ることができます。
続いて、産業用ワイパーやグローブの色分けも有効です。一見単純な対策に思えるかもしれませんが、色分け衛生管理が人間の直感に働きかける効果は極めて大きいものです。だからこそ、「使い捨てできる、かつ色分け管理できる」という製品は、HACCPを実践する上で有効といえるでしょう。
食品業界全体としてHACCPへの対応が急務になる中、企業規模を問わず、重点的に管理すべき工程から優先的に対応を進める姿勢が求められています。衛生管理対策でお悩みの企業様や、HACCP対策ができる製品できる製品を検討したい!とお考えの方は、下記のカタログから是非詳細をご覧ください。
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